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平成26年6月定例県議会知事提案理由説明要旨(平成26年6月11日)

 

 

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(最近の経済情勢)

 まず、日本経済の動向を見ますと、緩やかな回復基調が続いておりますが、世界経済の動向や消費税増税の影響など、引き続き、先行きに注意が必要な状況にあります。

 

 県内経済につきましては、先月、県内の主要企業を対象に行った調査では、卸売・小売業や食品製造業におきまして、駆け込み需要後の売上減少などの影響が見られ、また、他業種でも、今後の影響が要注意の状況にあります。

 

 このため、県としましては、引き続き、消費税引上げの影響などを注視しながら、必要な対応を行ってまいります。

 

(県人口の状況)

 さて、今年4月1日現在で県の推計人口は、70万人を下回ることとなりました。

 

 近年の人口の推移を見ますと、死亡者数から出生者数を差し引いた自然減は、年間約4千人弱で、転出者数から転入者数を差し引いた社会減は、千人前後と、全体で5千人程度の人口減少が続いております。

 死亡者数は、緩やかな増加傾向にあり、自然減を短期間に減らすことは困難ですが、出生数が増えるよう、子育て支援や結婚対策などに取り組んでいく必要があります。

 

 日本全体で見ますと、大都市部では出生率が低くなっております。

 先週、発表された各県別の出生率を見ますと、全国平均1.43、東京都の1.13に対し、島根県は、1.65と全国で3番目に高い水準にありますが、子どもを産み、育てる若者が大都市部に流出して、出生数が少なくなっているのが大きな問題であります。

 

 日本全体で出生率を上げていくためにも、子育てのしやすい地方で若者が生活できるよう、産業拠点などを大都市部から地方に分散させることが必要であります。

 この点は、県として、従来より国に対して強く訴えてきておりますが、引き続き、同様な状況にある県などと連携して、国に働きかけてまいります。

 

 社会減は、近年では若干減っておりますが、社会減を少なくするためには、県内で産業を振興し、雇用を創出することが重要であります。

 このため、今後とも、企業誘致、観光振興、県産品の販路拡大、島根の特色を活かした売れる農林水産品づくり、県外からのUIターン対策などをさらに推進していく考えであります。

 また、県内の地域毎の状況を見ますと、隠岐や県西部での人口減少が著しく、人口減少対策は、離島・過疎・中山間地域対策の中でも対応していく必要があると考えております。

 

(観光の振興)

 さて、こうした状況下で産業振興、その中でも観光振興は県の最も重要な対策の一つであります。

 

 出雲大社の「大遷宮」の効果、松江尾道線など高速道路の整備推進などにより、今年も、多くの観光客に島根にお出でいただいております。

 

 県では、こうした動きが今後も続き、県全体に及ぶよう、観光振興を進めてまいります。

 来月には、神々の国しまね実行委員会を受け継ぐ形で官民連携の観光推進会議を立ち上げることとしております。

 

 今後の取組みについて申し上げますと、まず、昨年からの「ご縁の国しまね」観光キャンペーンでは、キャッチコピー「運は一瞬、縁は一生。」などを活用し、先月末の大阪での説明会に続き、来月には首都圏でイベントを開催し、さらに映像広告などによりPRを行ってまいります。

 

 また、今年で2回目となる「古代歴史文化賞」では、島根、三重、奈良、宮崎に加え、新たに和歌山県の参加があり、5県連携で、古代世界への人々の関心と興味をさらに高めてまいります。

 昨年、豪雨災害を受けた石見地域につきましては、萩・石見空港東京便の2便化や8月に予定されている山口線及び山陰本線の全線運転再開などを受け、観光キャンペーンや旅行商品づくりなどを強化してまいります。

 

 隠岐地域につきましては、世界認定された隠岐ジオパークのPR活動の強化、周遊バスの運行やイベントの開催などにより、県内外からの誘客を進めてまいります。

 

(ものづくり産業の振興)

 次に、ものづくり産業につきましては、県内企業の新たな受注獲得や生産性の向上につながるよう、設備投資などの取組みについて支援を進めております。

 

 また、県内企業の海外での支援拠点につきましては、経済界のご意見なども踏まえまして、タイに設置することとし、現在、9月頃からの開設を目指し、準備を進めております。

 

(企業誘致)

 次に、企業誘致につきましては、昨年度は、17件の立地認定を行い、総投資額は約95億円、新規雇用は、約290人となりました。

 今年に入ってからの立地認定は、1月から3月で10件、4月からは4件で、企業の投資意欲の高まりを感じております。

 8月には大阪で立地セミナーを開催し、島根への企業進出を働きかけてまいります。

 

(IT産業支援)

 次に、IT関連産業につきましては、誘致体制の強化や助成制度の拡充により、今年度も引き続き、重点的に取り組んでまいります。

 今後、IT企業経営者の県内視察ツアーを開催するなど島根の立地環境をアピールしてまいります。

 

 また、IT関連技術者の確保・育成のため、今年度から、首都圏に、IT専任の人材誘致コーディネーターを配置し、県内では、企業と教育機関を巡回する相談員を配置して、支援を強化してまいります。

 

(中小企業の支援)

次に、中小企業の支援につきましては、厳しい経営環境の中で、経営改善や新たな取組みを行おうとする企業に対し、専門家の派遣や助成金等による支援を行っております。

また、この4月から、資金繰りなどの対策として、制度融資や立地関係資金などの貸付利率を引き下げました。

 

今後も、企業の経営状況などの把握に努め、必要な支援を行ってまいります。

 

(農林水産業の振興)

次に、農業の振興について申し上げます。

 

国の農政改革として、今年度から、農地中間管理機構の創設、水田フル活用と米政策の見直し、日本型直接支払制度の創設など、新たな農業・農村政策がはじまりました。

 

県では、担い手への農地の集積、米の生産調整に対応した飼料用米等の拡大、農地・環境保全活動の拡大に向け、支援事業やプロジェクトの創設・強化を進めております。

また、国に対しては、引き続き、農政改革に係る各制度が、地域の実情を反映した柔軟な仕組みとなるよう働きかけてまいります。

 

最近、政府や与党において議論されている農業協同組合の見直しにつきましては、農政改革を推進する上で農業協同組合が果たす役割は大きいことから、その見直しにあたっては、中山間地域の実情などにも配慮し、農業者、農業団体、地域住民などの意見を踏まえたものとするよう国に要望しております。

 

次に、農業の担い手確保につきましては、県では、就農希望者に対し、相談から就農準備まで総合的な支援を行っております。昨年度の新規就農者は、前年に比し、36人増加し、161人となりました。

このうちUIターン者は53人で、23人の増加となっております。

引き続き、市町村と連携しながら、こうした支援を強化してまいります。

 

次に、林業の分野では、新たに県内3カ所で、木質バイオマス発電所の稼働に向けてチップ工場の建設が進められ、また、県西部では、県内最大規模の製材工場が新設されるなど、民間企業による積極的な動きが見られます。

 

今後も、原木の増産、伐採後の再造林、苗木の生産体制の強化など、循環型林業の推進に努めてまいります。

 

また、水産業では、島根県沖合水域における漁業秩序を確立するため、国に対し、竹島領土権の確立による暫定水域の撤廃、暫定水域が撤廃されるまでの間の実効ある資源管理体制の早期確立と影響を受けている漁業者への支援などを強く働きかけてきております。

 

(TPP)

次に、TPPにつきましては、これまで国に対し、影響が甚大な農産物などについては関税撤廃の例外とするよう、粘り強く交渉することを、強く求めてきております。

県としましては、引き続き、交渉の状況などをよく注視しながら、必要な対応を行ってまいります。

 

(再生可能エネルギーの導入)

次に、エネルギーの分野について申し上げます。

 

4月に、国は新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定されました。

この「基本計画」では、原子力発電については、安全性の確保を前提にして、エネルギー需給構造の安定に寄与する「重要なベースロード電源」とする一方で、再生可能エネルギーについては、今後、その導入を積極的に推進していくとされております。

 

県としましては、国の「基本計画」も踏まえながら、これまでの県の「地域新エネルギー導入促進計画」を見直し、再生可能エネルギー及び省エネルギーに関する新たな計画を策定し、これらの普及促進をさらに強化する考えであります。

この計画見直しにあたりましては、県内各界の意見などをよくお聴きするため、外部委員による委員会を設置して、検討する考えであります。

現在、委員の選任作業を進めており、第1回会合は、来月10日に開催する予定であります。

 

この委員会におかれては、国の政策展開を踏まえつつ、また、県民、事業者そして県議会や市町村などの意見によく配意しながら、年度内に計画案を作成していただくよう、お願いする考えであります。

(原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

原発の防災対策につきましては、国と原発の立地・周辺自治体とで構成する作業チームにおいて、具体的な避難計画を検討し、順次、実施してきております。

 

最近では、鳥取県と共同で、原発から30キロ圏内の住民の方々が、圏外へ避難するのに要する時間をいろいろなケースについて推計し、発表しました。

こうしたものも参考にしながら、避難計画の実効性を高めてまいります。

 

先月末には、岡山県及び広島県との間で、広域避難の際の連携強化を図るため、避難者の受入れ方法などについて協定を結びました。

また、原発に近い社会福祉施設などでは、昨年度より、要援護者の方々が一時的に屋内退避ができるよう、放射線防護対策工事を行ってきておりますが、今年度も引き続き実施してまいります。

 

今後とも、国や関係自治体と連携し、防災対策の強化を進めてまいります。

 

次に、島根原発の安全審査などの状況について申し上げます。

 

島根原発2号機につきましては、原子力規制委員会の適合性確認審査が行われておりますが、現状では、鹿児島県の川内原発の審査などが優先されております。

また、中国電力は、規制委員会の指摘を踏まえ、島根原発周辺の断層の追加調査を行っており、この調査には一定の時間を要するとされております。

 

1号機につきましては、運転期間が既に40年を経過しており、運転期間を延長するためには、原子炉圧力容器等の劣化状況を把握する「特別点検」などを行う必要があります。

中国電力は、1号機の取扱いについては、なお検討中であります。

 

3号機につきましては、中国電力は、国への申請に向け準備中としていますが、申請の時期は、まだ明らかでありません。

 

引き続き、国の審査状況や中国電力の対応をよく注視してまいります。

 

 

(社会基盤整備)

次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

山陰道につきましては、今年度、「仁摩・湯里間」及び「熱田・西村間」の開通が予定されております。

他の事業中区間につきましては、早期整備を国に働きかけてまいります。

また、未着手区間の「福光・浅利間」及び「益田・萩間」の早期事業化を国に働きかけてまいります。

 

大橋川改修につきましては、天神川水門の工事や井手・馬潟地区の堤防整備が、今年度中の完成に向け進められております。

また、向島地区では、今年度から堤防工事に着手される予定であります。

 

波積ダム、矢原川ダムにつきましては、昨年、事業継続が決定され、建設に向け、関連工事などを進めております。

今後も、早期完成に向けて取り組んでまいります。

 

(社会保障制度改革と医療・福祉の充実)

次に、社会保障の分野について申し上げます。

 

現在、国において検討が進められている国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県へ移行する問題につきましては、全国知事会として、国に対し、国保の財政基盤強化の具体策を示すよう、強く求めている状況にあります。

 

次に、医療と介護の連携や医療従事者の確保・養成などにつきましては、県としては、社会保障制度改革の一環として盛り込まれた基金などを活用し、一層の取組みを進めてまいります。

 

福祉医療費助成制度につきましては、今年10月から、自己負担限度額の引下げと精神障がい者を対象に加える制度拡充を実施するため、現在、市町村とともに県民への周知など準備を進めております。

 

(教育の充実)

次に、教育の分野について申し上げます。

いじめの問題につきましては、4月に県のいじめ防止基本方針を策定いたしました。

この方針に基づき、学校や市町村とも一層の連携を図り、未然防止や早期発見、早期対応に努めてまいります。

 

また、35人学級の編制につきましては、この4月から、小学校3年生、4年生及び中学校1年生に導入しており、今後3年間で、中学校3年生まですべての学年を対象に導入することとしております。

これにより児童生徒一人一人に対するきめ細かな指導の充実が図られることを期待しております。

 

さて、近年、全国的に公立短期大学の保育、栄養などの分野で4年制への移行が進む中、島根県立大学においては、松江キャンパスの今後のあり方について検討をされ、現在、県民の意見などを聴取しておられます。

今後、そうした意見なども添えて、大学当局としての考え方が県へ示されることになっております。

 

これを受け、県としては、有識者による懇談会を設置して、幅広く検討を行い、来年度の早い時期に方針を定めたいと考えております。

 

(防犯・交通安全対策)

次に、防犯・交通事故対策につきましては、高齢者を中心に詐欺被害が後を絶たない状況にあり、また、夏に向かい、交通死亡事故の多発が懸念される中、街頭活動や広報啓発活動などを積極的に展開し、被害・事故の抑止に努めてまいります。

 

(竹島問題)

次に、竹島の問題について申し上げます。

 

先週、国会内の超党派による領土議連と島根県民会議の共催により、2回目の「東京集会」が、政府の代表や多くの国会議員、関係団体の参加のもとに開催されました。

 

今後、国政の場で、竹島領土権確立に向けた動きがさらに進むよう期待しております。

県としましても、議会とともに竹島問題解決に向けて、今後も粘り強く、取り組んでまいります。

 

(若者の活躍)

次に、スポーツの分野では、今年も、島根の若者の活躍が見られます。

 

全国高校選抜ホッケー大会で横田高校男子の優勝、全国高校柔道選手権大会男子81キロ級で平田高校生徒の優勝、全国高校選抜女子セブンズラグビー大会で石見智翠館高校の優勝などがありました。

今後も、高校総体や国体、さらには東京オリンピックを目指して、大いに活躍することを期待しております。

 

また、テニスの錦織圭選手が、世界ランキングにおいて、日本人男子として初のトップテン入りを果たされました。

錦織選手の活躍は、県民にとって大きな喜びであり、また、島根の子どもたちにとっても大きな励みとなるものであります。

錦織選手のさらなるご活躍を期待しております。

 

(補正予算など提出議案)

それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

今回の補正予算案では、農業関連施設の整備に係る国の補助金等の内示に伴い補正を要するもののほか、早急に対応すべきものについて措置することとし、総額3億6,900万円余を増額しております。

 

この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,276億300万円余となります。

 

この補正予算案のほか、条例案12件、一般事件案7件の計20件を提出しております。

 

これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。

 


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